作者は陸秋槎、名前からして中国系の作家なのだろう。
この作家の作品がポケミスで刊行されていることは知ってはいたが、早くも(?)文庫化されているということは、それなりに支持を得ているものと思われる。
刊行された文庫の装幀はアニメっぽいデザインだ。
セーラー服のような学生服姿の女の子が描かれている。
これは最近のミステリーの主流なのだから、別に珍しくはない。
しかし、少し気になることがある。
それはこの作家が書く作品の舞台はどうやら日本ではないという点だ。
なにせ登場人物の名前が日本人名ではないのだ。
漢字で表現されているが、明らかに違う。
ということは、作中の舞台は日本ではなく中国なのだろう。
別にこれはこれで構わない。
海外の作家が自国を舞台にしたミステリーを書くことはあたりまえのことである。
しかし、だからこそ疑問に思う。
舞台が日本ではないにもかかわらず、なぜ文庫の装幀でデザインされたアニメっぽいキャラクターは、セーラー服ような日本の学生服を着ているのか。
調べたところ、セーラー服を学生服に指定しているのは主に日本だけらしい。
(他にもあるかもしれないが、ここはあいまいに断言しておく)
学生服は国により異なることは当然であり、中国の学生服はセーラー服ではない。
日本の女子高生の制服が中国の学生に人気があるという情報もあるが、だからといって中国の学校がセーラー服を制服として指定しているわけではあるまい。
日本の学生服が人気なのは単なるコスプレに過ぎない。
つまりだ。
せっかく、中国を舞台にしたミステリーを中国系の名前を持つ登場人物で描写するのであれば、装幀のデザインも作中に合わせるべきなのではないか。
ミス・マープルが金髪碧眼の美少女でデザインされていたらおかしいわけだ。
言うまでもなく、ミス・マープルは老人だからだ。
(かつては金髪碧眼の美少女だったかもしれないが)
海外の作品を読んで感じることは、明らかに日本と文化や風習が異なるということである。
しかし、馴染みがないからといってそれを排除しようとは考えないだろう。
少なくても私はそうだ。
シャーロック・ホームズは電報を打ち、移動は馬車である。
これを非現実的として排除はしない。
国や時代が異なれば作中の雰囲気も変わるのは当たり前なのだ。
であれば、この作家の文庫の装幀のキャラクターは、舞台となる中国(?)の学生服を身につけているべきである。
この文庫のデザインに関して、悪いのは作者ではなく早川のデザイン担当である。
表紙で読者を釣るために萌え文化を利用しているのだろうが、そういった商業上の理由よりも、その作品に会ったデザインをするべきだろう。
その方が雰囲気が出るだろうに。
入荷。
鉄の花を挿す者(森雅裕)
タイムカメラの秘密(T・H・シャーレッド)
エラリー・クイーン
幽霊狩人カーナッキ(W・H・ホジスン)
TREE(C・W・ニコル)
ウィル(田中政明)
ガープス・リング★ドリーム 女子プロレス最強伝説
探偵神宮寺三郎 Innocent Black(天羽沙夜)
真・女神転生 NINE(実弥島巧)
スポンサーサイト
コメント