その弟も作家らしく、「ミイラに這う蜘蛛」というホラーらしき作品の作者であることがトラップ・コレクション(富士見文庫)に記されている。
その時は、カーの弟も作家なのか程度の認識で、たいして興味もなく特に調べることもなかった。
が、
カーの作品の多くが早川、創元で出版されており、そのたび作家や翻訳家、中島河太郎といった評論家が解説を書いている。
にもかかわらず、ロバート・S・カーなる人物に対する記述を一度も見かけた覚えがない。
もし、カーの弟が作家であれば、どこかに一行ほどの注釈が入るであろうことは想像できる。
となると、
カーに弟なんていないのでは?
いたとしても、ロバート・S・カーなる作家とは無関係なのでは?
ロバート・S・カーという作家はただのカー愛好家が気取ってつけたペンネームなのでは?
と思うようになってきた。
シェリー・ディクスン・カーという作家はカーの孫らしいが本当にそうなのか、と思いたいがどうやら本当らしい。
しかしそれは、amazonで検索したページに記載されていただけで、信憑性があるともいえるがないともいえる。
テレビやインターネットの情報は半信半疑といった最近の風潮もあって、何が本当か否かわからなくなってきた。
また別の話。
ロイ・ヴィカーズの「フィデリティ・ダヴの大仕事」を見かける。
ヴィカーズで有名なのは迷宮課事件簿シリーズなのは言うまでもないが、フィデリティ・ダヴという妙齢の女怪盗を主人公としたシリーズがあることも以前から知っていた。
創元推理文庫「犯罪の中のレディたち」下巻に、フィデリティ・ダヴのシリーズ一編が収録されており、最近上巻を読み終えたばかりなので、本シリーズに対する記憶は鮮明なのである。
また、講談社文庫の世界鉄道推理傑作選2(小池滋編)にも、妙齢の怪盗美女フィデリティ・ダヴの記述があるのでなおさらだ。
そしてこのシリーズが単行本になっていることを最近になって知ったのだ。
奥付を見てみると2011年に刊行されており、かれこれ10年以上も私の目をかいくぐって本書は存在していたことになる。
おそらく版を重ねてはいないだろう。
なんというエンカウント率の低さか。
またまた別の話。
上記で挙げた世界鉄道推理傑作選2には、ディケンズの信号手が収録されている。
編者の小池滋が言うに、丘美丈二郎の「汽車を招く少女」は信号手をもとに書かれている、とのこと。
作者がそれをほのめかしていたのなら理解できるが、内容が雰囲気が似ているだけならそう断言することはできないのではないか、とも思える。
汽車を招く少女は、鮎川哲也の鉄道アンソロジーに収録されているほか、最近では光文社の「少女ミステリー倶楽部」にも入っている。
内容は確か、少女から汽車が来ることを告げられた男おり、待てど暮らせど汽車は来なかった。
騙されたと憤る男の前にまた同じ少女が現れ、汽車が来ることを告げる。
今度は騙されまいと聞き流したが、汽車は本当に来た、というものだった(はずでである)。
逆主観のオオカミ少年のような話だったと記憶している。
信号手を読む前に、汽車を招く少女を読み返す必要があるな。
あともうちょい書くつもりだったけど後にする。
入荷。
名の無い男(大藪春彦)
悪魔の報復(エラリー・クイーン)
ニックとグリマング(フィリップ・K・ディック)
ミレミリアが復活する時(高齋正)
囁く影(ジョン・ディクスン・カー)
ゴエモンのニッポン日記(小松左京)
蝉の女王(ブルース・スターリング)
二番目のファンタム(小寺真理)
夜想曲(依井貴裕)
縞模様の霊柩車(ロス・マクドナルド)
猫森集会(谷山浩子)
タイム・リープ(高畑京一郎)
冬のスフィンクス(飛鳥部勝則)
大いなる殺人(ミッキー・スピレイン)
プロジェクト・ゼロ(石川英輔)
ビルマの虎(梅本弘)
最近読み終えたのは、「犯罪の中のレディたち上巻」と天城一の「島崎警部のアリバイ事件簿」。
天城一のは本当にすごかった。
密室物の麻耶よりスゴイ。
『準急「皆生」』が作者の自信作としているのは納得した。
スポンサーサイト
コメント