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ある詩人への挽歌
マイクル・イネスといえば、その作品の多くが国書刊行会や論叢社の単行本で刊行されており、全般的に入手しにくい作家である。文庫となっているのは思い当たるだけで「アプルビィの事件簿」ぐらいだ。つまりどういうことかというと、マイクル・イネスはレアである、ということだ。そんなさなか、「ある詩人への挽歌」が再版された。これには教養文庫版の同書を所持している私も驚きだ。有名な「ハムレット、復讐せよ」であればとも...
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マイクル・イネスといえば、その作品の多くが国書刊行会や論叢社の単行本で刊行されており、全般的に入手しにくい作家である。文庫となっているのは思い当たるだけで「アプルビィの事件簿」ぐらいだ。つまりどういうことかというと、マイクル・イネスはレアである、ということだ。そんなさなか、「ある詩人への挽歌」が再版された。これには教養文庫版の同書を所持している私も驚きだ。有名な「ハムレット、復讐せよ」であればとも...
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創元推理文庫の世界短編傑作選4には、エラリー・クイーンの「キ印ぞろいのお茶の会の冒険」が収録されている。今私の手元に2冊の同書があり、最近新装版で刊行された世界推理短編傑作集4もある。この3冊の内容はおおむね同じだが、新装版の世界推理短編傑作集4のみ、本来世界短編傑作選5に収録されていたベイリーの「黄色いなめくじ」が収録されており、少し違いがあるようだ。しかし今回取り上げる内容はそこではなく、「キ印ぞろ...
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最近、クロフツの「製造所の秘密」を読み終えた。「樽」「ポンスン事件」を読んだのがおよそ10年前。本作から感じたことは、クロフツは風景描写が膨大で、読んでいて疲れるということだ。戦前か戦後、クロフツ作品を妙訳の方が良いと評価されたこともあるらしく、これは的を射ている。風景描写はそれなりに省略しても問題はない。クロフツといえば本格物という印象があったが、本作は本格は本格でも、殺人は副次的要素であり、本題...
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